当時の神楽に想いをはせる


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三朝君の伊勢大神楽巡業も1週間が過ぎました。

今年も、ぼびー君と3人で合宿所生活。時々ゲストがやって来ます。

1月中は、ほぼ休みなし。

三朝君達は、陽が昇る前から親方のハイエースでどこかの町に連行されていく毎日です。

 

先日、神楽帰りの三朝君と二人で『一丁』に呑みに行きました。

高月で行きつけの、美味しい肴が食べられるお店。

カウンター席でお酒や料理に舌鼓を打っていると、お店の大将が「この子ら大道芸やっとるんや」と、隣の常連さん二人組に私たちを紹介してくれました。

 

「大道芸?どんなことするん?」

私たちが答えるよりも早く「獅子舞や獅子舞い」と、大将。

いやいや、獅子舞いと大道芸は一緒じゃないでしょ…と、思っていたら、常連さんの一人が「うちも獅子舞い来るで。石川さんやったかいな。」

もう一方は「うちは来いひんけど、子供の頃は結構楽しみやったなぁ。もう5~60年前の事やけど。」と。

三朝君が「ちなみにどちらにお住まいですか?」と訪ねると、最初の方は近所の旅館のご主人。そしてもう一方は「今は婿入りしてこっちやけど、生まれは○○や。」

「え!○○は僕ら回ってますよ。どこの組でしたか?」

「そやなぁ…。長太夫や。長太夫!ほんま、凄かったで。」

「僕ら長太夫ですよ!」

 

常連さんの話によると、当時の山本長太夫社中と迎える町の盛り上がりは、本当に凄かったようです。

獅子舞いが来ると小学校にも連絡が来て、地域の2校が授業中止。

町中の方々が集まってくるので広い場所が必要になり、神社の境内での総回し(獅子舞いと曲芸の興行?)だったそうです。

 

「肩の上に梯子立ててなぁ。獅子がそれを上るんやで。」

それって、昔の見世物興行の錦絵とかにあるような、アレですか?

そう云えば、三朝君達が伊勢大神楽に参加する事を決めて挨拶に行った時に「ワシの兄貴達がやっとった時は、本当すごかったんやで。」と、80前後の先代の親方が語ってくれたような。

「神社の松の木にワイヤー張って、1本下駄で綱渡りしよった。」

いやいや、それは無いでしょ…って思いながらも聞いていた親方の話は、どうやら本当だったみたいですね。

肩の上の梯子を上るなら、1本下駄で綱渡りもするでしょ。

親方、今まで疑っててごめんなさい。

 

お獅子さんが肩乗りで女形の振りをして練り歩く魁曲を見たときは驚いたけれど、昔はもっともっと凄いこと色々してたみたいです。

 

「もう、サーカスが来た!って感じですね。」と私が云うと「せやで。他に娯楽がなんも無かったからな。大人も子供も、キャーキャー云って喜でたわ。」

「当時の様子、見たいなぁ。」と悶絶の三朝君。

「俺の兄貴が写真をよう撮っとったけど、まだ実家にあるんかなぁ。今は婆さんが独りで住んどるけど。」と、ご実家の特徴を教えてくれました。

 

お話を聞かせてくれた方によると、当時も偽物がいたようで「町の名士がな、2家で、長太夫が来ると旅館とっておもてなしして、ご祝儀も町の分全部払っとった。」

だから一軒一軒門払いに来るのは偽物だと、町中の方が分かるようにしていたそうです。

ちなみに、この方はその名士2家うちの1家の出身。

「今は商売もやめてまったけど、昔はでっちが何人もおってな。」って、地元で1番デカい家の坊っちゃんだったようです。

 

5~60年前の長太夫、とても興味深いです。

どこかに写真が残ってないかなぁ。

とても見たい!